アステラス製薬 情報システム部長との対談特集

企業組織・リーダーシップ論を語る

リーダーシップ
リーン
By

CI&T

本記事は、「アステラス製薬 情報システム部長との対談特集」の後編です。
記事前編:「CI&Tと共同で行ったアジャイル開発プロジェクトの裏側」はこちらからご覧ください。
https://ciandt.com/jp/ja/article/taidan-session-with-astellas-agile-project


企業のDXパートナーであるCI&T株式会社(本社:東京都墨田区、代表:セザール・ゴン、以下CI&T)は、医薬品の製造から販売までを手がけるアステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区、代表:安川健司、以下アステラス製薬)の情報システム部長 須田真也氏をゲストに迎え、「リーン・リーダーシップ(※)」をテーマにしたオンライン対談を実施いたしました。
※この対談の内容は須田氏個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。

(※)リーン・リーダーシップ
部下に自立性を持たせ、サポートをするスタイルのリーダーシップ。部下との綿密なコラボレーションをもとに、ボトムアップで業務を遂行する。

今回はその対談を、大きく二部構成で特集してまいります。前編では、主にアステラス製薬とCI&Tが共同で行ったアジャイル開発プロジェクトについて、その裏側をお話しいただきました。

本対談の登壇者


suda-Astellas

アステラス製薬株式会社 情報システム部長 須田真也氏

1992年千葉大学院薬学研究科修了。同年、山之内製薬株式会社(現アステラス製薬株式会社)入社。2004年合併準備委員会にてIT統合事務局を担当。2008年~2010年英国子会社IT部門に出向し欧州ITインフラ運用のアウトソーシングなどを担当。帰国後に基幹業務システムの開発・運用を統括。2011年10月コーポレートIT部長就任、システム運用委託先のグローバル再編を経て2015年4月にグローバル組織化して情報システム部長に就任(現在)。


Ken-CI&T

CI&T株式会社 シニアビジネスグロースマネージャー 岡田健太郎

2020年8月にCI&Tに入社。株式会社プリンスホテルの本社海外営業部を経てエクスペディアとスカイスキャナーという外資系オンライントラベルカンパニーにおいてビジネスディベロップメントとアカウントマネジメントを16年経験。CI&T入社前の直近3年間はスカイスキャナーのシンガポールオフィスにて日本だけでなく東南アジアのマーケットも担当。スカイスキャナーは創業当時から自社プロダクト開発にアジャイルを用いていることでも有名。


対談企画前編

アステラス製薬 須田氏の考える
企業組織・リーダーシップ

働きやすい職場環境に求めるもの

岡田:「上司の目や古くからの慣習など、何かしらの制限を気にしながら働かなければいけない職場では、十分に集中できずクライアントへの価値提供もおろそかになってしまいます。」

このような話があるように、働きやすい職場のひとつの定義として「心理的安全性」を挙げることができる。そこで須田氏は、この心理的安全性が高い状態に加え、     職場において必要な要素をもうひとつ説明した。

須田氏:「野球の守備において、ボールが飛んできたときに自分が取りにいくかそれとも隣の守備範囲として任せるのか、混乱して取れるはずのボールが取れなかったという場面があると思います。そこで重要になってくるのがプレイヤー同士の関係性、すなわちコミュニケーション     です。」

心理的安全性を担保するためには、同僚同士の日常的なコミュニケーションが必要不可欠なのだ。これを怠ってしまうと、ビジネスにおいても野球の守備同様「取れたはずの球が取れない」という事態が起こってしまう。

リモートワークと心理的安全性を築く難しさ

心理的安全性を築くことは、とても難しい。現在、多くの企業がリモートワークを取り入れているが、チーム内のコラボレーションや社員一人一人とのコミュニケーションを取ることが課題の一つとなっている。その中でも特にリモートワークの環境下で障壁となるのが、新加入メンバーとのコミュニケーションだと須田氏は話す。

須田氏:「新しく入ってきたメンバーは誰に聞いていいかわからず、ちょっとした相談ですら『こんなことも知らないの?』と聞かれないかと考えて躊躇してしまうことが多々あります。これでは心理的安全性は高いとは言えません。」

日本のコミュニケーションはContext リッチと言われるが、日本文化の良い点は     初めての人とでも「道徳」という共通の価値観を共有できることが日本文化の良い点の一つではないか。チームメンバーと共有できる価値観を多く持つことが、心理的安全性の向上につながるのだ。     
               
須田氏:「リモートワークとは関係ありませんが、恐怖心や圧力がパフォーマンスを上げるための原動力にならないことは皆さん理解されていると思います。チームのパフォーマンスを上げるには、チームメンバーが相互にオープンに意見を交わし合い、共通の目的に向かって鼓舞し合う事が重要です。」
          
リモートワークにおいてもチームメンバーがうまく連携して力を発揮できているか、適切なタイミングで協力し合えているか、など「個人がチームとして同僚らとつながって能力を発揮できている状態」を作ることがマネージャーとして重要な責務であると言う。

メンバー同士のコミュニケーションをどれだけ活性化させるか、そこに自分の価値として組織の求心力をどう働かせていくか、がポイントとなる。

一方岡田は、リモートワークにおける社員との関係性構築に対して、「信用」という観点で話した。

岡田:「「信用」し合うためには共通認識としての基盤となり、共有できるヘルスチェック機能が不可欠。そのひとつが業績基準であると共に、コントロールすることが前提ではなくサポートすることを前提としたコミュニケーションを通じたチームメンバーの行動計画や状況の把握が必要だと思います。」

実際にCI&Tでの業務においても、営業担当として売り上げの数字という明確な業績基準を持つ。一方で、マネージャーやチームメンバーと営業戦略や行動計画などを議論し、常に状況のすり合わせを行っていることによって短期的な結果の良し悪しによってプレッシャーをかけられることはなく、それも「コミュニケーション」と「信用」があって成り立つものと考えているのだそう。

単純化できないクロスカルチャー

岡田:「日本人というアイデンティティを持っている人にとっては当たり前である道徳心が、心理的安全性を築く上でプラスに働いているんですね。」

そう話した岡田に対し、須田氏はこう話を切り出した。

須田氏:「例えばアメリカ人はこんな性格だからこう接しよう、というクロスカルチャー研修がよくありますが、そこまで単純化できる話ではありませんよね。」

同じ日本人でも1億人以上の人がいて、それぞれ世代も考え方も違う。よって国ごとの文化の比較はあくまで傾向値として捉え、結局はひとりひとりを見る必要があるのだという。

須田氏:「そしてもう一つ、海外に行ったときに忘れてはいけないのが、自分が日本人であるユニーク性に誇りを持つことだと考えます。」

海外に赴きその国に染まろうとしても、現地の人から見るとその国にとって“最低レベル”の人間にしかなれないのだという。そこで大切になってくるのが、日本人としてのアイデンティティをポジティブに捉え、いわば“日本代表”のような気持ちでいるということだ。

岡田:「シンガポールへ赴任していた時の話で、現地の社員はよく堂々と宣言するが、必ずしも行動が伴っていないケースが散見されました。しかし私はまず大きなことを言う前に背中で見せて証明しようと、自分のやり方を貫き通しました。その結果良い意味で目立ちましたし、時間の経過とともにその美学が評価されたんです。」

こうして日本人であることをネガティブに捉えず、その良さを貫き通すことが大事なのだ。そこで須田氏は、客観的な視点から世界で何が通用するのか、あるいはしないのかを見極めることが重要であると語る。

須田氏:「グローバルプロジェクトにおいて日本のやり方を安易に否定するのではなく、積極的に活かすべきやり方とそうでないやり方を客観的に見定めて議論できる人は活躍できますね。」  

失敗を許容することが、次の成果につながる

これまで心理的安全性含め働きやすい職場環境について話を進めてきた。そこでチームとして大きな成果を出すためには、目標実現に向けた過程で発生する失敗を許容し、それを活かしていくことが大切なのだと須田氏は話す。

須田氏:「例えば自転車に初めて乗るときは、誰しもいつか補助輪を外しますよね。でもその     タイミングは     補助輪無しで乗れるようになる前     で、何度も転びながら乗れるようになります。つまり転んで失敗することを予測し、準備することで許容しつつ、練習を続ける     からこそ、最後は成功に到達するんです。」

そこで大切なのは、失敗から学ぶことで目標に近づき、その達成まで決して諦めない環境をいかにリーダーがつくるかということなのだという。
     
また、社内の業務において、「失敗に早く気付く」という観点に対し、CI&Tでは素早い学習サイクル、いわゆるPDCAを積極的に取り入れている。実践、測定、結果の分析、学習・改善という流れなのだが、特に結果の分析と学習、改善が重要であり、クライアント企業のプロジェクトの推進においても同じ考え・手法を用いる。

岡田:「社員もクライアントも、自分が関与するプロジェクトや取り組みの進捗状況について適宜知っておく必要があるのは当然のことですし、透明性のある環境下で業務を行ってこそ、強固な信頼関係を築くことができると信じています。」

これは、須田氏も述べた「最後は成功に到達する」という姿勢にも繋がる。

リーダーシップのあるべき姿

須田氏:「サッカーの監督は、試合が始まったらフィールドに入ってプレイしませんよね。それと一緒で、マネージャーは     、むやみにプレイヤーとして     プロジェクトに参加してはいけない     と考えます。」

マネージャーはもともとプレイヤーとして高く評価され     た人     が多く、どうしても「自分ならこうする」と言って部下に過剰に干渉してしまう。だからこそ、その線引きが大事なのだという。

須田氏:「そういいつつ私はすぐ手を出してしまうのを反省しています。     以前も部下の仕事がうまく     進まない時に、私も手伝っていたことがありました。     その際には     自分の     関与度     を“観客席から応援”、“コーチとしてベンチ入り”     、“選手として交代”の     3段階で表現していました。     これを彼自身にも考えさせることで、     本来あるべき姿と現状のギャップを実感しやすくしました。」

― 理想のリーダー像

最後に、須田氏の考える理想のリーダー像についてずばり話を聞いた。

須田氏:「この人の部下である限り、120%の力で頑張ろう。そう思ってもらえるリーダーでありたいですね。」

人は論理的に正しいことを     理解するだけでは、100%の力しか出せない。しかし指示の背景までを理解してもらい、「この人のためなら」と感情に訴えかけることで、限界以上の力を引き出せるようなリーダーになりたいのだという。

須田氏:「そのためには、自分自身が本気でその目標を達成したいと思うこと、そして困難を乗り超えた先の景色を部下に     想像させることが     大切なんです。私は常に明るく目標達成に誰よりも本気である、そして部下やパートナーを鼓舞し続ける、そんなリーダーでありたいですね。」

― 変化の激しい時代、リーダーはどうあるべきか

岡田:「ここ最近は社会の変化が激しく、特にデジタル領域については常にリーダーが最先端の知識を身につけることが難しくなってきます。だからこそ、無知であることを前提に新しい世代に助けてもらうような姿勢が、リーダーにも求められると思いますね。」

須田氏もこの考えに頷き、さらに自分の考えを話した。

須田氏:「理想のリーダー像は、ひとつに集約されるものでは     ありませんね。野球を例にすると多様な     投手がさまざまな     球種を使い分けるように、時と場所によって変化する     有効なリーダーシップの発揮     に備えて、持ち手を増やしておく必要があるんですよね。」

環境がどんどん変化するなかで、リーダー像も絶えず変化する。そこで勝ち残るためには、持ち手の多さで多様性に対応していく必要があるのだ。


【開催概要】
◆ 開催日時
 2021年5月11日(火)13:00-14:00
◆ 配信形式
 オンライン動画配信(Zoom)
◆ 登壇者
 スピーカー :アステラス製薬株式会社 情報システム部長 須田真也
 モデレーター:CI&T株式会社 シニア・ビジネスグロースマネージャー 岡田健太郎

【会社概要】
◆ CI&T株式会社について(HP:https://ciandt.com/jp/ja
デジタル・トランスフォーメーションを加速するために - CI&Tはエンドー・ツー・エンドでデジタル変革を支援するパートナーです。デジタルネイティブな組織として、包括的かつスケーラブルなソリューションで顧客各社のビジネスインパクト実現を加速してきた25年の実績があります。グローバル展開する戦略・リサーチ・データサイエンス・デザイン・開発の4,000名の専門家たちとともに、顧客体験の革新および運用最適化による売上成長を可能にします。

【本件に関するお問い合わせ先】
CI&T株式会社 マーケティング担当:宮崎 志保
メールアドレス:jp-marketing@ciandt.com 電話番号:080-9112-2336


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