アステラス製薬 情報システム部長との対談特集③

企業のAX(アジャイルトランスフォーメーション)の
必要性とその課題について

2021年12月07日 | 分程度で読める記事です
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CI&T


世界的企業と共にDXを実現するデジタル・スペシャリストCI&T株式会社(本社:東京都墨田区、代表:セザール・ゴン、以下CI&T)は、医療用医薬品を中核事業とするグローバル製薬企業アステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区、代表:安川健司、以下アステラス製薬)の情報システム部長 須田真也氏をゲストに迎え、アジャイルの本質と未来の働き方を語り合うイベント、Agile Japan 2021にて「AX(アジャイルトランスフォーメーション)(※)」をテーマにしたオンライン対談を実施いたしました。
 
(※)AX(アジャイルトランスフォーメーション)
計画・開発・テスト・リリースを数週間の短期間で「反復(イテレーション)」しながら、チームで成果物を積み上げていく開発手法である「アジャイル」の要素を、開発だけでなく経営やビジネスにも組み込むことで、意思決定やサービス・製品の市場投入までのスピードを上げるなど、企業全体としての変革及び成長を目的とする(文中ではAXと省略)。

本対談の登壇者


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アステラス製薬株式会社 情報システム部長 須田真也氏

1992年千葉大学院薬学研究科修了。同年、山之内製薬株式会社(現アステラス製薬株式会社)入社。2004年合併準備委員会にてIT統合事務局を担当。2008~2010年英国子会社IT部門に出向し欧州ITインフラ運用のアウトソーシングなどを担当。帰国後に基幹業務システムの開発・運用を統括。2011年10月コーポレートIT部長就任、システム運用委託先のグローバル再編を経て2015年4月にグローバル組織化して情報システム部長に就任(現在)。


Ken-CI&T

CI&T株式会社 シニアビジネスグロースマネージャー 岡田健太郎

2020年8月にCI&Tに入社。株式会社プリンスホテルの本社海外営業部を経てエクスペディアとスカイスキャナーという外資系オンライントラベルカンパニーにおいてビジネスディベロップメントとアカウントマネジメントを16年経験。CI&T入社前の直近3年間はスカイスキャナーのシンガポールオフィスにて日本だけでなく東南アジアのマーケットも担当。スカイスキャナーは創業当時から自社プロダクト開発にアジャイルを用いていることでも有名。

これまでに掲載した、「アステラス製薬 情報システム部長との対談特集記事」は、下記のリンクからご覧いただけます。

① CI&Tと共同で行ったアジャイル開発の裏側
② 企業組織・リーダーシップ論を語る


――アステラス製薬とCI&Tのアジャイル開発について

アステラス製薬とCI&Tは、アジャイル開発手法を用いたウェブサイト開発および刷新プロジェクトを2016年にスタート。その経緯や当時の思い出について、須田氏にお伺いした。

岡田:私が須田さんとお仕事させていただくようになって1年弱ですが、会社としては5年以上のお付き合いになりますね。

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▲ アステラス製薬株式会社 情報システム部長 須田真也 氏

須田氏:はい、当時は社の運営をグローバル化していくにあたり、それまで国によってまちまちだったコーポレートサイトをひとつのプラットフォームに統一し、運営もグローバル化しようというプロジェクトに着手していました。

岡田:他のベンダーさんと進めておられたプロジェクトですね。

須田氏:そうです。ところが、見事に失敗しまして(笑)。そこで、CI&Tさんに救世主として入ってもらったのですが、その際にアジャイル開発の手法をうまく取り入れて、スピードと信頼性を高めるご提案をいただきました。我々には初めての経験でしたが、プロジェクト立ち上げからコンテンツ開発提供まで、非常に丁寧に対応していただいたというのが最初の印象です。

現在も保守営業や追加機能の開発など、引き続きCI&Tが担当。薬学部から研究所のIT担当となり、自らを「ITと化学の中間にいる人間」と評する須田氏も、今ではアジャイル開発に留まらず、経営やビジネス・組織運営にアジャイルの要素を取り入れようと考えている。

――AXは、企業活動のすべてに変革をもたらすもの

対談のテーマは「企業のAXとその課題について」。まずはCI&T岡田からAXにおける定義が展開された。

岡田:AXと聞いて多くの人がイメージするのは、「ITやシステムのための開発手法」「新しい商品開発の手法」「とにかく速くやること」等々だと思うのですが、アジャイル自体は徹底的な顧客目線でテスト&ラーン(試行錯誤を通じ最適な方法を学ぶ)を高速で繰り返し、変革やイノベーションを推進するための手法です。

そのため、ITや商品開発に限定せず、より広範囲の企業活動や経営への活用ができる。これに対して須田氏は同意し、独自の視点からアジャイルのコンセプトを語った。

須田氏:アジャイルという言葉は、「アダプタブル(Adoptable) - 適応性の向上」と「イテラティブ(Iterative) - 反復して回す」に言い換えられると考えています。環境の変化や進捗に応じた新しい情報を、それら2つによりナビゲートしながら、ゴールである「適切な価値の創出と提供」に向けて最も効率的に進んでいく。それがアジャイルの基本コンセプトだと思います。

agile process cycles in japanese

▲アジャイルのイメージ図

――変革推進の時代における、AXの必要性とは

グローバル化やオンラインへのシフトなど、近年におけるビジネスの地殻変動に伴い、多くの企業で変革が求められている。その中でAXの必要性が急速に高まる現況を、岡田の前職を例に挙げて分析した。

岡田:私がCI&Tに入社する前に在籍していた旅行業界でも、大きな変革が起きていました。顧客が店舗でパッケージ商品を購入するオフラインの業態から、顧客自身がパソコンで航空券やホテルを組み合わせて購入するオンラインへとシフトしたのです。それにより、レガシーのビジネスモデルであった企業も、変化せざるを得なくなりました。

これは一例であるが、コマース系などオンライン化しやすい業種では同様の事象が起き、顧客目線でのテスト&ラーンを高速でくり返せる企業、いわゆるアジャイル・カンパニーへの進化が求められたのではないかと岡田は語る。

岡田:そしてこの変革は、新型コロナという未曽有のディスラプションが強制的に起こったことにより、特定の業界に限らずあらゆる企業にとって変革を推し進める必要性が生まれたと思っています。製薬業界ではいかがでしょうか。

須田氏:製薬業界では新型コロナ感染拡大より前から、イノベーションに向けた変革に取り組んでいます。特に弊社のような新薬開発が使命である会社では、常にイノベーションを持続していかなければなりません。昨今、製薬会社の新薬の研究対象は治療困難な病気にシフトしてきました。すると、当然ながら医薬品開発の生産性が低くなりますので、新しい医薬品はもちろん医薬品に頼らない治療法も含め、今まで以上にフレキシブルな開発ができる体制づくりを目下推進しているところです。

※参考資料:アステラス製薬株式会社│研究組織の刷新について

――「アジャイル文化」を根付かせられる協業の重要性

AXを成功させるためには、単に開発を請け負うだけでなく、クライアント企業に「アジャイル文化」を根付かせる協業、あるいは直接的・間接的に働きかけることが重要であるとCI&Tでは考えている。それにはCI&Tの歴史に関連した理由があるという。

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▲ CI&T株式会社 シニアビジネスグロースマネージャー 岡田健太郎

岡田:弊社は創業して25年以上ですが、アジャイルを導入したのはこの15年ほどのことです。それ以前の開発は従来型のウォーターフォール。マインドセットやリーダーシップもアジャイルではありませんでした。しかし2006年、顧客からの提案を機会にアジャイルを導入し、組織の文化や考え方、従業員の姿勢にまで好影響が出て、社内変革が一気に進んだという経緯があります。

この経験をもとに、CI&Tではクライアント企業の内部において、AXが速やかに進むよう、コンサルティングも含めた顧客対応を心がけている。

――アジャイルに関する「誤解」と「あるべき考え方」

「アジャイルでは決められた予算通りに進むことがない」という誤解について、実際にアジャイルをクライアント側として推進している、須田氏に見解を伺った。

須田氏:「成果物の作成」をゴールとし、あらかじめ決められた計画に対し「QCD(クオリティ・コスト・デリバリー)」の観点から工程を管理するのが従来のプロジェクト管理でした。一方、アジャイルは工程管理の基準となる計画が明確でないため、「プロジェクト管理できない」と違和感を持つ人がいます。そこが従来との大きな違い。アジャイルの目的は「成果物の作成」ではなく、決められたコストや期間の中で最大の「価値を生み出すこと」にあるのです。

アジャイル開発を導入する際、大切なことは「最初に定めた成果物を作成することに留まらず、与えられたリソースでプロジェクトが提供する価値をブレずに持つこと」だと須田氏は語る。許容範囲をきっちりと決めておくことで、管理の難しさは軽減されるはずだ。

岡田:何を達成するのかという明確なビジネス目標を、ステークホルダー間でしっかりとアラインしておくことは重要ですね。

須田氏:予定通りの成果物ができても、世間にとって価値がなければ意味がないですからね。社会の変化に応じて、プロジェクトの中核は保ちつつ、求められているものを随時理解、確認することが大切です。「PMBOK(プロジェクトマネージメント知識体系)」の最新版でも、そのように明確に書かれています。

――イノベーションと通常業務をどう両立するか

a hand touches a smartphone

岡田:AXにおいて、イノベーションは通常業務にディストラプションをもたらす、水と油のような関係にあるのではないかと思うのですが、どう両立させるかお聞かせください。

須田氏:AXやイノベーションなど、目につきやすいファインプレー的な業務と、そうでない通常業務。これは「お互いがあってこそ自分は活躍できる」と、尊重しあうことが大切だと思います。あとは、水と油を乳化させる役割の存在ですね。できればチーム間で人員をコンバートするなど「人」単位で見ていくことで、チームの分離が緩和されるのではないかと考えています。

その際、キーマンとなるのが、リーダーだ。いわゆる「コマンド&コントロール型」ではなく、メンバーに寄り添う「リーン・リーダーシップ」が求められる。メンバーがアカウンタビリティを持ち、担当分野のリーダーであるという認識を持って働くことが重要であり、そのために心理的な安全性をどう担保するべきだろうか。須田氏が考えるリーダーの役割について伺ってみた。

須田氏:リーダーに欠かせないこととして、統率力やカリスマ性などリーダーの特徴を挙げる人が多いですが、僕の場合は「メンバー」ですね。近年よく言われる、いわゆる「心理的安全性」や「サーバント型」は、メンバーに優しくするのが目的ではありません。各自が持つ100%の力を、120%や200%出せるようにする。それがリーダーの役割だと思います。

岡田:素晴らしいですね。弊社も入社後にリーン・リーダーシップトレーニングを受けるんですが、そこで学ぶことに共通します。

須田氏:メンバーが協力することで、相互作用が生まれて苦手を補完し合える。困難に対して火事場の馬鹿力的なパワーを発揮したり、誰かのために頑張ったり。「一人じゃない」と思えることで、普段以上の結果を出せることもあります。そのうえで価値観やビジョンを共有して進んでいけるよう鼓舞できる人が、今求められているリーダーなのではないかと思います。


【開催概要】
◆ 開催日時
 2021年11月16日(火)14:20-15:00
◆ 配信形式
 オンライン音声配信(Discord)
◆ 登壇者
 スピーカー :アステラス製薬株式会社 情報システム部長 須田真也
 モデレーター:CI&T株式会社 シニア・ビジネスグロースマネージャー 岡田健太郎

【会社概要】
◆ CI&T株式会社について(HP:https://ciandt.com/jp/ja)
デジタル・トランスフォーメーションを加速するために - CI&Tはエンドー・ツー・エンドでデジタル変革を支援するパートナーです。デジタルネイティブな組織として、包括的かつスケーラブルなソリューションで顧客各社のビジネスインパクト実現を加速してきた26年の実績があります。グローバル展開する戦略・リサーチ・データサイエンス・デザイン・開発の5,000名の専門家たちとともに、顧客体験の革新および運用最適化による売上成長を可能にします。

【本件に関するお問い合わせ先】
CI&T株式会社 マーケティング担当:宮崎 志保
メールアドレス:jp-marketing@ciandt.com 電話番号:080-9112-2336


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