オープンファイナンスとは?世界的なトレンドについて

14 September 2021 | min read
データ分析
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CI&T

この記事では、Open Finance(オープンファイナンス)について、定義、銀行が採用するメリット、現状などについて解説します。

Open Finance(オープンファイナンス)とは?

オープンファイナンスとは、ユーザーが自分の財務データを銀行や非金融機関などと共有することで、財務状況の把握や新しいサービスの利用などを可能にするプロセスのことです。オープンファイナンスの導入は、金融機関にとっても多くのメリットがあります。
 
金融機関は顧客のデータを蓄積し、処理をしてきました。そして今日、何百万人もの人々が主要銀行取引以外のサービスを利用しているため、金融機関がこれまで収集したデータと組み合わせれば、付加価値のある洞察や新しいサービスの提供に利用できるアイデアの宝庫となるのです。2020年にマッキンゼーが行った調査によると、米国の回答者の42%がFinTechサービスを利用しており、これはコロナ流行以前の36%と比べて、増加傾向にあります。

金融機関がオープンファイナンスを採用するメリットは?

では、銀行が第三者に顧客データを提供するメリットは何でしょうか。その一つとして、第三者が提供する数多くの顧客体験の中に、自社のサービスを組み込むことができることが挙げられます。 

あらゆる金融機関が、長期的な収益の圧迫に直面しています。そんな中、Embedded Finance(組み込み金融:金融以外のサービスを提供する事業者が金融サービスを既存サービスに組み込んで提供すること)は、大きな市場に参入し、新たな収益源を得る機会になり得るのです。

BaaS(Banking as a Service):オープンデータは、金融機関がFinTechやIT企業などの非金融機関を通じてサービスを提供するBaaS(Banking-as-a-Service)の基盤となります。このようなサービスは、新たな手数料収入、取引の増加、新規の預金や融資に繋がる可能性があります。ガートナー社は、2025年までに大手銀行の約50%がBaaSの提供を開始すると予測しています。また、オリバー・ワイマン社(米国のコンサルティング企業)は、BaaSは低コストで新たな収益を獲得する上で、素早く結果をもたらし、拡大可能なソリューションとなると発表しています。 

アカウントアグリゲーション - アカウントアグリゲーション(画面上に複数の金融機関の口座情報を集約して表示し、統合的に管理できるサービス)は一般的によく使われていますが、収益モデルはまだ開発中です。多くのユーザーが、複数のアカウントを1つのプロバイダーを利用してまとめて管理するようになるのではないでしょうか。

また、オープンファイナンスは、既存のサービスやプロセスの改善にも役立ちます。そしてそれらが、コスト削減、顧客体験の向上、顧客維持率や顧客一人当たりからの収益の増加などに繋がるのです。
・住宅ローンの貸し手は、リアルタイムで顧客データにアクセスできることで、手作業による申請データ収集作業を減らす、または無くすことができ、承認プロセスをより迅速に進めることができます。また、第三者のデータを利用することで、アンダーライティングや回収率が改善され、不正行為や信用損失の削減にも繋がります。
・豊富な顧客データを持つことにより、商品やサービスのターゲットが絞られるため、マーケティングの効率向上に役立ちます。
・第三者からのデータ取得を自動化することで、ミスが減り、データ分析やインサイトの質が向上します。

金融機関がオープンファイナンスを採用すべきタイミングは?

まずは、オープンファイナンス用アプリケーション導入の準備を、技術インフラと運用プロセスの両面から始める必要があります。

なぜなら、現在の金融機関の主要ビジネスは、今後もしばらくは収益の圧迫が続く可能性が高いからです。そのため、各企業はコストを削減し、新たな収益源を得るためのイノベーションを起こさなければなりません。低金利とクレジット需要の低迷が引き続き銀行の重荷となり、非金融機関との競争が激化する可能性が高いのです。

イギリス、EU、オーストラリア、ブラジルなど、いくつかの国や地域ではすでにオープンファイナンスが義務付けられていますが、詳細な規則などはまだ決められておらず、複雑なため、採用が遅れているのが現状です。

米国とカナダでは、規制当局がオープンファイナンスの規則について話し合っていますが、最終的な策定時期はまだ不明です。そのため、フィンテックアドバイザーであるFT Partners社は、オープンファイナンスに早めに着手することが、消費者に広く受け入れられる大きなチャンスであると考えています。

民間企業も何も対策を始めていないわけではありません。FDX(Financial Data Exchange)は、大手銀行やIT企業など約200社が参加するコンソーシアムで、金融に関するオープンな規格やプロトコルの開発に取り組んでいます。

米国のオープンファイナンス市場の現状は?

アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)は、第三者機関とデータを共有するのに有効な方法として導入されています。FDXの推定では、顧客ログインの25-40%は、APIインターフェースよりも安全性が低く、エラーが発生しやすい「スクリーンスクレイピング」セッションであるとされています。フィンテック企業は、APIプラットフォームを介して何年も前からオープンファイナンスの基礎を築いてきました。例えば、PlaidやFinicity(現在はMastercardの一部)のようなデータアグリゲータやMarquetaのようなBaaS(Bank as a Service)プラットフォームなどです。

現在、様々なデータ共有の規格やプロトコルが存在していますが、消費者がそれをコントロールすることはほとんどありません。これは、FDXコンソーシアムが解決しようとしている問題の1つです。大規模金融機関や消費者がデータ共有を安心して行うためには、まずデータセキュリティやユーザーコントロールにおける課題が解決されなければなりません。

そのため、オープンファイナンス市場の発展には、そのような規制が充分に整っていない市場では特に時間がかかると考えています。クラウドインフラへの移行と同様に、オープンファイナンス機能の導入には、特に大手企業にとっては、技術や管理手法の構築・見直しが必要となります。また、消費者側では、デジタルIDは長年にわたって求められてきたセキュリティニーズであり、オープンバンキング導入の重要な触媒となるでしょう。


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