[リーンDX2] プロセスとテクノロジー | DXを加速させるには

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CI&T

デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)を支える3つのポイントのうち、「ビジネス目標と成果」と「人材」について、過去2記事で掘り下げてきました。続いては、「プロセスとテクノロジー」について、解説をしていこうと思います。本題に入る前に、DXは単なるデジタル化ではないということを前提とします。例えば、日常業務にデジタルツールを導入しただけでは、DXを推進しているとは言えません。DXには、デジタルに加えて、企業文化や職場環境、マインドセット、業務体制などの組織的な変革も必要だからです。
 
しかし、プロセスとテクノロジーは、DX推進において非常に重要な役割を担っています。大切なのは、ビジネス目標達成や課題解決に最適なプロセスやデジタルツールを選ぶことです。特に、開発においてどんなプロセスを採用するかは、IT関連部門だけでなく、マーケティングなど他の部門にとっても非常に重要なポイントです。

CI&Tでは、開発において、従来のウォーターフォール型よりも早く製品(ウェブサイト、アプリ等)をリリースできるアジャイル手法を強く推奨しています。製品がユーザーに何かしらの価値を提供できる状態にまで開発されれば、すぐにMVP(必要最低限の機能を搭載した製品)としてローンチし、ユーザーのフィードバックを受けながら機能を追加・改良していきます。

またCI&Tは、リーンの原則の導入や調整を加え、透明性、可視性、予測可能性が高く、他のチームとの共有が容易で、大規模に展開しやすいリーン・アジャイル開発プロセスを構築しました。数種類の図表(メトリクス)、BCP(各機能の開発複雑性を測る指標)をもとにしたプロジェクト全体のロードマップの作成、ステークホルダーとの頻繁なコミュニケーションなどがそれを可能にしています。

1. IT部門とビジネス部門の障壁

DX推進のための新しいITソリューションや戦略を決める際に、デジタルソリューションを開発するITチームと、それを使用するビジネスチームのコミュニケーションギャップが障壁となるケースがよくあります。しかし、DXを実現し、プロジェクトを成功に導くためには、すべてのチームが同じビジネス目標を共有し、連携しなくてはなりません。例えば、市場のニーズを一番よく分かっている営業担当者と、開発のプロであるIT担当者がアイデアを出し合って製品を構築する方が、お互いに納得感を持ちながら、エンドユーザーにとってより良いものを作り上げることができます。

CI&Tがクライアントとのプロジェクトに取り組む際には、通常、部署間の壁を取り払うために、全関係部署から選抜した人材を入れてチームを編成します。それにより、ITとビジネス、両方の視野を取り入れながら、プロジェクトを進めることができます。この中でプロジェクトマネージャーは、プロセスの中でチームをサポートする役割を持ちます。

異なる専門分野や経験を持つメンバーを集め、プロジェクトに取り組む際には、ツールなどを使い、チーム全体で同じ情報を同じ方法で共有し、意見交換を促進することが重要です。実際に、CI&Tでも、チームワークの中で数々のツールや手法を使用しています。例えば、問題解決にはA3、アイデアの交換や集団の創造性を高めるためのデザイン思考、クライアントやステークホルダーに実際のプロジェクト業務の様子を見学してもらうGemba Walk (現場ウォーク) などを採用しています。

部門間の壁を壊すことは、マネージャーだけでなく、チームメンバー全員の課題です。リーダー層はチーム内でコミュニケーションをとるように促すべきですが、チーム内の誰でも会話の橋を架けることができます。
まずは共通の目標を持つことが大切です。全員が同じ目標を持っていれば、”自分が何を望んでいるか”、”チームメンバーが何を望んでいるか”を議論する必要はもうありません。くだらないことのように思えるかもしれませんが、一人称を「私たち」にするだけで、チーム内にコラボレーションのムードを作ることができます。議論は常に "プロジェクトの目標を達成するために何が役に立つのか?"に焦点を当てるべきです。

中村 ありさ CI&T スクラムマスター

2. アジャイルは、スタートアップや小規模チームでしか成立しない?

多くの企業にとって、アジャイル手法への切り替えはDX成功への大きな一歩となっています。しかし、「大企業がアジャイルを全社規模に拡大するのは難しい。スタートアップや小規模な開発チームのためのものだ」と思われることが多々あります。(参照: McKinsey & Company) これについては、企業の文化やビジネスモデルが理由の1つとして挙げられます。大企業では、長年かけて構築されてきたプロセスやビジネスモデルが既に定着している事が多く、それらを変えるのは大変なことかもしれません。ですが、その伝統的なやり方が、アジャイルシフトを妨げる要因となっている可能性があるのです。

例えば、上層部にしか意思決定権がないようなビジネスモデルでは、確認や承認に時間がかかってしまい、アジャイル(俊敏)にアクションを起こすことが困難になります。また、アジャイルコンセプトの普及のため、部署間で業務の連携を取り、ITチーム以外の人々にもやり方を理解してもらえるような方法をとる必要があります。

エンタープライズアジャイルは実現可能!4つの重要なポイント

CI&Tは、これまでの経験の中で構築してきたプロセスを用いて、エンタープライズアジャイルを実践しています。

  1. プロジェクトマネージャーの重要性:アジャイルプロジェクトには、通常プロジェクトマネージャーはいないと言われています。しかし、日常的にクライアントチームと自社開発チームの架け橋となってタスクを管理し、望ましいビジネス価値が効率的に提供できるようにするなどの重要な役割を担うプロジェクトマネージャーは必要であると考えています。
  2. リーダーシップ像:マネージャーはチームを管理しますが、指示・命令を出す事とは異なります。CI&Tでは、マネージャーはプロジェクトをリードしますが、チームメンバーを信頼し、タスクに合わせてメンバーに裁量を与えることが求められます。特に規模の大きいアジャイル開発を行っている場合、マネージャーは俊敏性を維持し、価値提供に集中するために意思決定プロセスを分散させる必要があります。
  3. バリューエンジニアリング:マネージャーが一人で大規模なアジャイルプロジェクトのタスク全てを管理することは非常に難しいと思います。そこで、私たちは「バリューエンジニアリング」を使います。これは、プロジェクトの中で、クライアントへの提供価値を最大化するため、優先すべきタスクを見極めるのに役立ちます。マネージャーは、優先順位が最も高いタスクにフォーカスし、残りをチームに託すことができるようになります。
  4. メトリクス - アジャイルプロジェクトが大規模であっても、全チーム共通のメトリクス(図表)を使って課題や進捗を共有することで透明性を保ちます。全ステークホルダーを含め、多くの人がプロジェクトに関わっている場合でも、メトリクスを使いながら進めることで、全員が状況を理解するので、お互いに信頼も生まれます。また、メトリクスは問題の早期発見にも役立つなど、プロジェクト管理が容易になります。

大規模にアジャイルプロセスとマインドセットを拡大するために、CI&Tではリーン・アジャイルのプロセスやメトリクスをグローバル規模で共有しています。国をまたぐプロジェクトにおいても、プロセスやツールを共有し、頻繁にコミュニケーションを取ることで、アステラスやジョンソン・エンド・ジョンソンなどのグローバル企業にアジャイルフレームワークを導入することに成功しています。

CI&Tも2007年頃に始まり、ウォーターフォールからアジャイルへの移行を経験しました。そして当初は、多くの企業と同じように、大変なことも沢山ありました。失敗から学び、継続的な改善とビジネス価値の提供をプロセスの軸とすることで、アジャイルプロジェクトは管理・コントロールすることが可能であると分かった時、プロジェクト成功への道が開け、エンタープライズアジャイルを確立することができました。

橋永 ローズ CI&T シニア・オペレーショントランスフォーメーションマネージャー

DXを加速させるプロセスとテクノロジー

世界では、毎日新しいデジタルツールが生まれています。しかし、最新のツールを使うことが必ずしも正しい判断とは限りません。問題解決をし、目標を達成するために最適なツールを最適な方法で使うことで、イノベーションが起こるのです。

アジャイル開発手法では、MVP(必要最低限の機能を搭載した製品)の状態で、製品をリリースすることができます。全開発工程が完了するまで成果物を確認することができない従来のウォーターフォール型の開発と比べて、ユーザーの反応を早い段階で知り、機能の追加や改善・プロジェクトの方向転換ができるので、より価値が高く、ニーズに沿ったものを提供できます。また、計画、開発、リリースのサイクルを短期間で何度も回すことで、問題の早期発見に繋がり、少ない手戻りで修正できます。

CI&Tは、これまでの知見と学習を活かし、プロジェクトにおける適切なツール選定や、アジャイルプロセスへの移行を支援いたします。

リーンの原則から成るナレッジベースに、アジャイルやデザイン思考を加えて、クライアントのDX推進を一貫してサポートします。
これらすべてを支えるのが、PDCA(Plan, Do, Check, Act)モデルと、問題解決にフォーカスしたツール(A3, Gemba, Hoshin Kanri, OKRsなど)です。クライアントのビジネス成果を第一に据え、90日サイクルでの課題解決と価値提供を目指します。また、テスト・検証後の素早い学習能力が、DXを成功させる鍵となります。

アントニオ・ピアンカ CI&T シニア・プロジェクトマネージャー


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