データで見る健康指数: 成果向上のためのヘルスケア強化

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CI&T

健康に関するより多くのデータへのアクセスが可能となり、私たちは日常生活の行動にも変化をもたらしています。これまで以上に多くの情報が入手できるようになった今、こんな疑問はありませんか?「私たちは実際に健康になっているの?」

ビクターが生まれたとき、彼の両親マテウスとリリアンは、喜び、誇り、興奮、少しの恐怖...そして間違いなく新しい家族の一員への深い愛情を感じました。そしてビクターが生後5日目に初めて心臓の手術を受けたとき、医療が彼の人生の大きな部分を占めることになりました。

左心低形成症候群(HLHS)と呼ばれる心臓疾患を持って生まれたビクターにとっては、些細なことが大変なことでした。睡眠や食事に問題があったり、体重増加が遅かったり、パニックになったりするなど、普通の新生児では当たり前のようなことが、大変な問題だったりします。子育てでよくある「本能に従えば大丈夫」といったアドバイスは許されず、「すぐに医師に従って!」と言われていました。

「病院では医師が権威です。」マテウスは言いました。「親の気持ちはあまり考慮されていないんです。」

ビクターにとって幸いなことに、彼の両親は医師に全てを任せるタイプではありませんでした。デジタルビジネスのプロであった彼らは、データを扱うことに精通しており、データを扱うことに抵抗がありませんでした。「私は当時、自分のデータを追跡していました」とリリアンは言いました。

健康に関するデータ測定がトレンドに

ビクターの両親は非常にユニークな例です。彼らは、デジタル技術の進歩を利用して、健康測定値に関するデータを追跡し、保存、報告し合いました。それを分析し、可視化することで、健康データを積極的に追跡しました。

2008年にはFitBit、2014年にはApple HealthとGoogle Fitが登場し、高度な分析データへのアクセスはこの10年間で爆発的に増加しました。私たちは、年齢や人口統計学に従って300人以上のヘルスケア消費者を調査し、調査対象者の約71%が何らかのヘルスデータ(例:歩数、体重、カロリー摂取量、血圧など)を追跡していること、約37%が3種類以上のデータを追跡しているということを明らかにしました。言うまでもなく、最もこの技術を利用しているのは18~24歳のグループで、テクノロジーを使って育ってきた人たちですが、「データトラッカー」の数は61歳以上になるまで75%を下回りませんでした。半数以上の人が何らかのデータを追跡しています。歩数のようなたった一つのものであってもです。

データは医療関係者との会話をより良くする

ビクターの家族にとって、データを追跡し、自分自身で見ることは始まりに過ぎませんでした。「私はビクターのベッドの傍でパソコンを開いたままにしていました。」リリアンは言いました。「看護師や医師がビクターのことについて質問をしてきたら、いつもデータ画面を見せていました。」 

調査では、医師との会話を改善するためにデータを使用する傾向は、その人のデータトラッキング量に応じて増減していることがわかりました。医師との会話を改善するためにデータを利用すると回答した人は、日常的に平均2~3種類のデータを追っていました。 要するに、個人的にデータを追跡すればするほど、医療従事者とデータについて話す可能性が高くなるということです。

マテウスは、「データを見せればインパクトがあります。医師はあなたの話に耳を傾け、なにか行動を起こさなければならない気持ちになるのです。データの所有権、その収集、そしてそれを議論することで、患者と医師が同じ土俵に立って話せます。」

ここで注目すべきは、何種類のデータを測定しているかは特に関係ないように思えることです。歩数、カロリー、血圧などの中から1種類だけ計測している人と、何種類も計測している人は、同じであるように見えました。糖尿病の人が血糖値を測るなど、診断に特化したデータを取っている人は、明らかな理由から強い相関関係を持っていましたが、少数の例外がありました。

データ測定でより健康に

もちろん、最終的に重要なのは、「このすべてのデータ測定は実際に健康につながるのか?」ということです。結果に関する答えが最も重要ですよね。

ビクターの両親は、医師がビクターの体重がなかなか増えないこと等の状態を懸念し、彼をを家に連れて帰るより、病院にとどめた方が良いと推奨されました。しかし、マテウスとリリアンは、ビクターは病院で起こるストレスや混乱のない、自宅での生活の方が良いと確信していました。そこで再び、彼らはデータに目を向けました。

「医師は、ビクターの体重増加を促すため、入院させたいと思っていたが、自宅での方が結果が良かったことを示すことができました。傾向と違いを示すことで、決断に影響を与えることができました。それにより、ビクターはその日のうちに退院することができました。」

CI&Tの調査では、データと結果の間に明確な相関関係が見られました。私たちは、運動量を増やす、体重を減らす、睡眠をよくする、喫煙などの有害な行動をやめるなど、健康に関連したさまざまな目標に対して、どのようにデータを比較したかを尋ねました。一般的に、測定したデータに関係なく、約30%の人が目標を達成した、または超えたと答えています。追跡しなかった人の方が約20%と、少し悪い結果となりました。3つ以上のデータを追跡するようになると、目標達成率は増加傾向にありました。0~2種類のデータを追跡している人の目標達成率は、平均24.8%でした。3~5種類のデータを追跡している人の平均は29.8%でした。では、6つ以上を追跡している人は?なんと56.3%でした。  

共有することで成果を高める

私たちは、測定だけでなく、データを共有することにも同様の相関関係がある可能性があることを発見しました。1~2人とデータ共有した人の目標達成率は約25%だったのに対し、3~4人と共有した人の達成率は約41%、5人以上と共有した人の達成率は62.5%、またはそれを超えたと報告しています。

私たちが向かう先には

これは自己追跡データを使った個人レベルでの結果ですが、ほんの始まりに過ぎません。他の分野でも、データは私たちの身の回りにあり、その質量と量が増えれば、その力は指数関数的に増大します。

これは、最近よく聞く 「ビッグデータ」の世界の集約です。何年もの間、私たちのオンライン上での行動は追跡され、保存され、他のユーザーの行動と組み合わされて膨大なデータの世界が作られてきました。このデータは、機械学習、データの可視化、およびその他の技術を使用して、限りなく正確で個別化された体験をもたらすことができます。その証拠に、過去10年間で同じAmazonのホームページを見た人はいないはずです。Netflixは、私たちがどの番組を好んでいるかだけでなく、作品作品カバー画像が私たちを惹きつける可能性が高いかをかなり正確に推測することができます。この計算式は、個人の小さなデータセットを、何百万人もの膨大で非個人的なデータセットと混ぜ合わせ、まるで魔法のように、個人に合わせた独自のものを割り出すのです。

これを健康や医療に適用することは簡単ですが、それは心を揺さぶるものがあります。今日、インターネットで私達一人一人にマッチした広告やプロモーション、意見を目にするようになっているのと同じ効果が、一般化された治療を、個人的な人間中心の治療に変えることができるのです。病気や状態に対し「ほとんどの人」に効くものを処方するのではなく、すべての薬、治療のすべてのプロセスは、予防だけでなく、個人のために何が効くかに基づいていくのではないかと思います。

「症状」ではなく「患者」を治療する

状態に応じた治療から個別治療に移行すると、症状を隔離して治療するのではなく、根本的な原因を根本から治療することに移行するのと同じくらい劇的な変化が起こる可能性があります。解剖学的、生化学的、生理学的に同じ特徴を持つ人は二人とおらず、どんな健康状態にも何らかの要因があります。私たちは、がん患者やうつ病に悩む人、単なる風邪をひいている人でも、一人一人が同じ薬を飲んだり、同じ運動をしたり、同じ食事を勧められたりすることがなくなる世界に向かっています。私たちの医療やヘルスケアは、Netflixのおすすめ動画と同じように、私たち個人に固有のものになると予測しています。今のデータサイエンスとその関連分野の進歩のペースで行くと、3年~5年でこれが現実になるかもしれません。

個人のケアから社会的成果へ

カスタマイズされた医療によって個人レベルでの治療が成功するようになると、その恩恵は治療を受ける人の範囲を超えて急速に拡大していきます。蔓延している病気、薬物乱用のような状態に対する治療の失敗、経済的な要因で発症する病気は、生活の質、生産性や機会の喪失という点で、コミュニティレベルで大きな影響を与えることになります(例えば、長期的な病気のために教育を受けられない学生の減少など)。このように、個人の健康状態を改善することで、より多くの個人の健康状態が改善されれば、コミュニティ全体、さらには国家にとっても、より良い社会的・経済的な結果が得られることに繋がるのです。

本当に変わらなくてはいけないのは?

メディアという市場でデータに基づくアプローチが成功しているにもかかわらず、プライバシー擁護派は、この力が悪用されて消費者に危害を加えるのではないかと心配しています。1996年に可決された「健康保険のポータビリティと説明責任に関する法律」(HIPAA)は、健康データの悪用から人々を守るために設けられた多くの州、連邦、国際的な規制の一つに過ぎません。私たちが好きな映画を分析されることはまだしも、私たちの深刻な健康状態、私たちの精神的な健康歴、化学物質依存症のような状態を知ることは、間違った意図で使用された場合、または意図しない結果を伴う正しい意図でさえ使用された場合には、本当にダメージを与える可能性があります。

CI&Tが実施した調査では、より良いケア結果を達成するためのデータを医師(および自分の利益を考えている人)が共有することがどれほど難しいか、あるいは簡単かについて回答者の気持ちを尋ねました。59.4%が「医師と医療提供者が情報を共有するのは難しすぎる」と回答しました。

賛否両論です。医師や医療提供者が私の情報を共有することは、本来あるべき姿よりも難しい。

実際に

規制の変更に伴い、消費者の信頼を高めなければならない。医師や薬剤師はこの点で高い評価を受けていますが、保険業界や政府には大きな仕事があります。

業界がまず変わらなくてはならない

規制環境と信頼環境全体を変える必要があるのは明らかですが、それはこのままでは起こりえません。規制を変えるためには、業界がより高いレベルの責任と説明責任を示す必要があります。遺伝子データアグリゲータは、そのサンプルが、少数の狭いセグメントだけではなく、実際に人口全体を代表するものであることを確認する必要があります。保険会社は、既往症だけでなく、将来の可能性の高い既往症についても保険の適用を承認する必要があります。そして、データの侵害や侵入から100%安全であることを疑う余地なく証明する必要があります。規制は、私たちが思い描く未来を可能にするために変更する必要がありますが、それによって人々の生活を犠牲にすることはできません。

今後の展望

健康データの未来を慎重に見るべき理由は十分にありますが、安全かつ責任を持ってそこにたどり着くことができれば、その可能性は非常に説得力のあるものになります。最終的に何かが効くことを期待して何年もかけて複数の治療法を試すよりも、より早く適切な治療法を見つけることができるという信頼を持つことができる時代が来るでしょう。患者や医師が症状から治療法を見つけるのに苦労するのではなく、すぐに答えを導き出し、要因の見落しを少なくすることができるでしょう。そして将来、医師や医療専門家は、データに置き換えられたりするのではなく、より多くの成功を収め、患者にとって更により良い結果に得ることができるようになります。また生活の質がすべての人にとって劇的に向上することを確信しています。


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