AmbevとAB InBevのデジタル革命
変化の激しい時代において、課題と機会を素早く知る

デジタルトランスフォーメーション / デジタル変革 / DX
イノベーション
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CI&T

CI&TのCSOであるボブ・ウォルヘイムが、BudweiserやStella Artoisなどのブランドを所有するAmbev社やAB InBev社(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)を支えるスタートアップ、BEES社の副社長セルジオ・ベッツァ氏にインタビューを行いました。メイントピックとして、BEES社の成長について取り上げられましたが、最も重要なポイントとして、この未曾有の時代を生き抜くために企業が何をすべきかを語りました。
 
企業は、消費者のニーズに対し、これまで以上に迅速な対応をすることが求められています。今、まさに必要な対応とは「変革」を起こすことです。そして、変革を起こすためには、戦略的思考やリーダーシップモデルについて、積極的に意識を変えていく必要があるのです。
 
移り変わるニーズを見極めるのがより困難になってきている現代において、これまでトップダウンを基本としてきた組織が市場を生き抜いていくには、製品、体験、デジタルプラットフォームの設計、構築、進化させる方法を備え、マネジメントシステムの再設計を行い、持続可能な変革を起こしていく必要があります。再設計された新しいマネジメントシステムは、戦略と実行をより強固に繋ぐ役割を果たしてくれます。
 
AB InBevの今日の成功実績は、同社の幅広い製品ポートフォリオ、品質、生産性、供給流通によってもたらされたものです。ただ、これだけでは競合他社に先んじることはできないという認識もあったようです。

破壊的技術(Disruptive Technology)

ハーバード大学のクレイトン・M・クリステンセン教授が造った言葉に「破壊的技術(disruptive technology)」というものがあります。破壊的技術とは、新しい市場を創造し、それまで市場を支配していた競合他社にも影響を及ぼす製品やサービスのこと。既存の製品やサービスと比較してよりシンプルで安価なものや、これまでそれらと関りがなかった人々にアプローチをかけるきっかけとなるケースが多く見られます。一部の顧客層に向けて提供が始まった破壊的技術を用いた製品やサービスが、一定期間のうちにセグメント全体を獲得するまでに至ることも珍しくありません。
 
また、新型コロナウイルスの流行により、多くのビジネスが影響を受けていますが、悪い影響だけではありません。この状況は、新たなビジネスチャンスを生み出したとも言えます。
 
クリステンセン教授によると、企業は以下の三段階の戦略的ポイントを踏んで、成長を遂げていくとされています。
段階1:既存のプロセス、製品、サービスを改善すること。
段階2:マーケティングやデザイン戦略を用いて新しい市場やターゲットオーディエンスに到達すること。
段階3:企業の運営方法を改革し、消費者や顧客をすべての意思決定の中心に据えること。
 
しかし多くの企業において、結果が出るのに5~10年程度かかるような革新的な取り組みに、約5%程度の比較的少ない予算しか用意していないとも言われています。
 
BEES社の副社長セルジオ・ベッツァ氏は、「これは無視できないポイントですね。消費財メーカーや伝統的な産業では、起業したばかりの企業とは異なり、レガシー(伝統)ビジネスを抱えています。テクノロジーを使ってデジタルトランスフォーメーションを行おうとすると、その導入自体が課題になるケースも多くあるのです。」とコメントしました。

デジタル時代のリーダーシップとは

今日のリーダーは、部下に対して指示を出すのではなく協力し、答えを与えるのではなく適切な質問をし、コントロールするのではなく自律性を促す必要があります。このデジタル時代にリーダーシップ性を発揮するには、常に学習する姿勢を身につけ、リスクを理解しながらも実践を促す環境を整えることが重要なのです。
 
BEES社の副社長セルジオ・ベッツァ氏はこれまでを振り返り、こうコメントしました。
「私たちリーダー層は、常に自己改革を行い、部下にチャンスを与えなければならないと思っています。私はこれまで、指揮統制の管理スタイルを意識しすぎていたのかもしれません。今は、自律性についてより深く考えるようになりました。「自律性」とは、部下やチームメンバーに自由を与えることであり、何度もよく考えさせることです。今のチームにとってのトランスフォーメーションとは何か、テクノロジーを用いながらメンバーと共に考えることの重要さを学びました」。
 
企業は、新しい製品やサービス、経験が生まれる中で発生する失敗や課題を、成長やイノベーションの機会として捉えなければなりません。
 
また、リーダーの在り方、ひいては企業の成功に不可欠な要素として、人を理解する能力が挙げられます。なぜなら、企業の成功は、社員の才能、関与、創造性によって築かれるものだからです。
 
テクノロジーがイノベーションを起こすのではありません。「ヒト」が起こすのです。どんな分野や市場においても、障壁を打破するのはテクノロジーを用いてソリューションを生み出す「ヒト」です。
 
新型コロナウイルス流行をきっかけに、企業におけるリーダーシップ層の在り方はかつてないほどの変革を遂げ、見解を変え、リーダーであることの意味を再定義するようになりました。従来の「指揮統制型」のマネジメントでは、イノベーションやアジリティ(俊敏性)は生まれません。今の時代、企業に必要なのは、戦略を目的として動き、部下にインスピレーションを与えることのできる、学習を重要視するメンタリティを持つ、アイデアを素早く実践に移したり、ミスにも順応できる環境を整えられる、そして何よりも企業を動かす最大の要素である社員を大切にできるリーダーシップです。このようなリーダーになるのは、簡単なことではないかもしれません。しかし、誰にでもできる、不可欠な要素です。
 
戦略やリーダーシップの在り方について考える上で、課題は尽きません。特に今の時代においては、組織やオペレーションモデルは、消費者が置かれている状況の変化を瞬時に読み取り、継続的に対応・適応をしていかなければならないのです。

顧客を意思決定の中心に

BEES社の副社長セルジオ・ベッツァ氏は、「まず、私たちは常に顧客の声に耳を傾けることを大切にしてきました。この カスタマー・セントリック (顧客中心) な考え方こそが、私たちが障壁を乗り越え、成功を収めてきたポイントであると言えます。」とコメントしました。
 
多くの企業がデジタルトランスフォーメーションを促進し、プロセスの合理化や、サービス改革、新製品の創造に力を入れています。しかし、このデジタル時代を乗り切るには、各分野の将来性を見極めた上で、消費者の当面のニーズに素早く反応する感性が必要です。
 
ニューノーマルがどのようなものになるか全貌を知るのは難しいですが、今後も継続する消費者の動きやニーズは、見えてきているものもあります。その一つが、人々とテクノロジーの関係性です。
 
未来に対する幅広いビジョンを持つ企業は、イノベーションやビジネス変革を実際に起こす準備ができています。
 
CI&TのCSOであるウェルハイムは、BEES副社長のベッツァ氏こう問いかけました。「AB InBevやBEESという企業としてではなく、デジタルトランスフォーメーションの促進に成功した経営者として、技術的なこと以外に、今回のプロジェクトを通じて学んだことを教えてください。」
 
これに対しベッツァ氏は、「まず、今回、私たちには企業としてデジタルトランスフォーメーションを起こす能力があり、社内にそのための人材もいると知りました。そして何より、デジタルトランスフォーメーションとは、単なる「デジタルの導入」ではない。特に消費財を扱う企業として重要なのは、「ビジネス」の変革を起こすことです。それを、デジタルを用いることで可能にする。これが、1つ大きな学びでしたね。」と回答しました。
 
今、多様化は加速し、いわゆるロータッチ経済に適応するべく、テクノロジーは大きな役割を果たすようになりました。
ブラジルで新型コロナウイルスの流行が始まった時、顧客へのサービス提供を維持しながら、社員の安全を確保することが企業の最大の目標でした。
 
世の中が停滞しているのに、企業が何もしないわけにはいきません。それまで実行に移していなかったプロジェクトを再検討したり、テスト段階の技術的プロセスを社内ですぐに標準化したりする必要がありました。企業として、考え方や発想の転換が必要になったのです。
 
Ambev社とAB InBev社のBEESプラットフォーム・プロジェクトも、その例の一つです。消費者行動とニーズ、B2Bの消費者(小売業者)に焦点を当てたマーケットプレイスであるこのプラットフォーム「BEES」の開発が行われました。BEESには、自社ブランドだけでなく、他社製品も掲載されており、消費者の選択肢を拡大しています。
 
顧客企業は、BEESを通じて注文をすると割引を受けることができるなど、ロイヤリティを高める戦略も組み込まれています。また、配送の日時を指定することができるので、好きなタイミングで注文をすることができます。
 
この戦略が功を奏し、160万件の顧客アカウントがBEESプラットフォームに登録され、1日30万件以上の注文を受けるようになりました。これは、新しい考え方やプロセスにいち早く賭け、アイデアの段階にあったプロジェクト推進を加速させた企業が、成長し、自らを改革することができた素晴らしい例となりました。こうしてBEESは、顧客にとって革新的な方法で価値を提供していくリーディングカンパニーの仲間入りを果たしたのです。

JP_BEES horizontal Version.pptx 2

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