アフターコロナのDXとリーダーシップ戦略
この記事の内容
- ニューノーマルに対応する戦略の構築
- リーン・デジタル化:強力なDX手法
- 新しいリーダーシップモデルの構築
CI&T 共同創立者兼CEO セザール・ゴン
新型コロナウイルス感染拡大は、これまでの人々の生活や行動パターン、考え方にまでも大きな変化をもたらし、人類の歴史の転換点となっています。これは、社会、経済、政治にも影響を及ぼしました。この出来事により、日本ではデジタル化の遅れが浮彫になり、様々な分野で急いで対策が取られています。これまで、時期を見て徐々にデジタル化を進めていた多くの企業も、数週間で運用方法を全面的に再検討し、数か月でデジタル変革(以下、DX)を余儀なくされているのが現状です。そうでなければ、時代に置いて行かれてしまうでしょう。
もちろん、DX推進は簡単に出来ることではありません。CI&Tもかつて開発手法をウォーターフォールからアジャイルに完全移行したり、運用方法を何度も変えたりするなど、大きな変革を起こす度に最適な方法を模索してきました。また、フォーチュン500企業を中心に顧客企業のDX支援事業も行ってきました。その中で、最も安全で成功率の高い方法をCI&Tは見つけました。その発見について、当社の創業者兼CEOのセザール・ゴンとCSOのボブ・ウォルハイムがPodcast配信(英語版)を始めました。当社25年の経験を基に、企業やビジネスの現在そして未来について語っています。
ゴンによると、企業を支える軸として、以下の2つを挙げています。
1 - 柔軟に戦略の方向転換を行うこと
2 - 新しいリーダーシップモデルを確立すること
ニューノーマル時代に対する戦略の構築
セザール・ゴン
ゴンは、コロナ渦で生まれた機会を活用し、成長とイノベーションに焦点を当てた戦略を構築する必要性があると話し、企業の進化モデルを用いてそれを解説しました。このモデルでは、企業の成長が3つの段階で説明されています。
1 - コアビジネスの継続的な改善(短期:2年未満) - 既存のプロセス、製品、サービスを顧客行動に合わせて改善する。
2 - コアビジネスを新たな消費者層に拡大する(中期:2~5年) - マーケティングやデザイン戦略を用いて新たなターゲットにリーチする。
3 - 将来に向けて革新的な計画を立てる(長期:5~10年) - 戦略の中心に消費者を置くことを目的に、企業文化および体制を変革(DX推進)する。
多くの企業は、目の前の成果を挙げるため、予算の70%~80%を1つ目の戦略に集中させています。2~5年の間に成果を得ることを目標に、10%~20%を2つ目の戦略に。そして、革新的な取り組みについては、5~10年後の成果として、多くても5%程度の予算と人員しか確保していない、とゴンは見ています。
セザール・ゴ
ゴンによると、DX推進を始める前にまず、あなたの企業が「失敗を許す」ために何をしているか知るところから始まると言います。新しいマーケティング戦略、技術の導入、そして消費者への価値提供方法において、リスクを取るための検証を行うことが必要です。
セザール・ゴン
CI&Tが大企業のDX推進をサポートしているのは、顧客により多くのビジネス価値を、革新的な方法で提供するという視点を持っているからです。このプロセスの基礎となるのは、リーンの原則・アジャイル・デザイン思考のツール、実践法、プロセスを組み合わせて開発した方法論です。これがリーンデジタルです。
セザール・ゴン
リーンデジタル:強力なDX手法
CI&Tがこれまで多くの顧客企業の支援をし、市場を観察した結果、ほとんどの伝統企業におけるDX推進は、以下の3つの柱を再構築することにかかっているという事が分かりました。
1 - デジタル製品開発のプロセス
2 - マネジメントのシステム
3 - リーダーシップの在り方
リーン・デジタルの原則と手法を使用することで、上記3点を段階的に、一貫して、持続可能な方法で再構築することが可能になります。この方法については当社のブログ記事や、※電子書籍『Faster Faster: The Dawn of Lean Digital』にて、無料でご覧いただけます。CI&Tが行った南米最大手のイタウ銀行、コカ・コーラ等エンタープライズのDX推進について掲載しています。
※現在は英語版でのご案内ですが、日本語訳版の公開も予定をしております。
セザール・ゴン
新しいリーダーシップ
セザール・ゴン
ゴンは、部下に指示を出してチームを統率することで、堅実なキャリアを築いてきたマネジメント層の多くは、デジタルの波に乗る準備が出来ていない点に注目しました。
セザール・ゴン
良きリーダーとは、命令するよりも協力すること、答えを与えるよりも正しい質問をすること、そして従わせるのではなく自律性を与えることを心がける必要があります。デジタル時代、特にアフターコロナのニューノーマル時代におけるリーダーシップは、常に学ぶ姿勢と実験、時にはリスクを取って挑戦を促す環境を作ることが大切です。
そのためには、リーダーは失敗や課題に対する見方を変えなければなりません。失敗は、成長機会とイノベーションのための大切な資産です。新製品、サービス、そして何よりチームの経験を生み出す過程で当たり前に起きうることです。部下の失敗を責めるのではなく、そこから何を学ぶか、そして素早く改善に繋げることが大切なのです。
リーダーシップに必要なスキルとは?
「人を理解する能力」であると、ゴンは言います。企業を成功へと導くのは、人であり、人のエンゲージメントであり、人の才能であり、人の創造性であるのです。
セザール・ゴン
セザール・ゴン